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環日本海の古代

環日本海と能登

日本地図をちょい上にスライドしてみる。0.5本州くらい。
すると、日本海を陸が囲う感じになっていて、大きな湖に見えてくる。

この日本海の「湖畔」に位置する場所は、文字に残っていないような古い時代から人の往来があった。

それは、この範囲では文化的に進んでいた朝鮮半島や本州に、より多くの形跡が残っている。

その中の能登。
ここは日本海に向かって飛び出しているので、この辺りの南側でウロウロしていれば、そのうちに引っ掛かってくるような地形とポジションにある。
そんな感じなので、ここは古くから交易の拠点となっていた。
そういうこともあり、近畿にそこそこ近いにも関わらず、ヤマト以外の色々なところから影響を感じさせる遺跡が残っている。

越国

この能登や福井、富山辺り、大和政権に取り込まれる前は、「越」という大和政権とは別の勢力だった。

越は、6世紀辺りに大和政権に取り込まれる形となった。

取り込まれる以前のこの辺りは、どんな感じだったのか。

残っている遺跡や遺跡の中に残された道具などを見ると、近畿の辺りと基本的には同じながらも、日本海経由で影響を受けたと思われるものが多くみられる。

例えば、 柴垣ヤッキャマ古墳 という砂丘の上に作られたお墓。5世紀前半に作られたらしい。
この形の石棺は、 箱式石棺 と呼ばれ、西日本中心に海岸エリアのみに見られ、近畿エリアには無い。

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また、能登の古い年代の神社には、朝鮮半島の神様や王子を祀っているところがいくつもある。
久麻加夫都阿良加志比古神社(くまかぶとあらかしひこじんじゃ) という神社には、 阿良加志比古神都怒加阿良斯止(つぬがあらしと) という朝鮮半島の王子と思われる名前の神様が祭られている。

この地域は、日本列島内の勢力と交流しあいながらも、朝鮮半島とも深い繋がりを持っていて、大和政権に取り込まれた後も、その繋がりが続いていたと思われる。

越と高句麗

7世紀辺りになると、 が建国され、周辺国の脅威となった。

「環日本海」のエリアの中でこの一番影響を受けたのは、朝鮮半島北部から満州あたりにある 高句麗 だった。
高句麗は国境を直に接していた。

高句麗は、隋とも唐とも戦争をすることとなった。

これより古い時代では、日本列島にあった国が、高句麗と朝鮮半島を巡って争っていたこともあった。
でも、この頃になると、 百済 と共に同盟状態となっていた。

高句麗は、唐とやり合うために、背後の 靺鞨(まつかつ) をどうにかしないといけなかった。
靺鞨は、国家という一つにまとまった形にはなっていなかった。
高句麗は、近くにいる靺鞨の集団については、味方に取り込んだ。
でもその先にも、敵になるか味方になるか分からない、別の靺鞨集団がいた。

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この頃、 阿倍比羅夫 が北方遠征に出る。
阿倍比羅夫は、大和政権に取り込まれていた後の越国の国守という存在だった。

目的は北方平定だった。
東北の蝦夷を味方に引き入れ、その先にいる 粛慎(みしはせ) と戦った。
『日本書紀』では、まず戦う前に、交渉で味方に率いれようとしたように記録されている。
北方制圧のために行ったのではなく、敵にならない状態にすることが目的だったと考えられる。

この粛慎は、靺鞨と同系統の可能性が高く、そうすると、高句麗の背後の勢力とも繋がりが深いことが考えられる。

高句麗の背後の脅威を無くして、唐に向き合えるようにするという目的に一致する。

能登臣馬身龍

『日本書紀』には、阿倍比羅夫の配下として、 能登臣馬身龍 という人物が出てくる。
この人程度しか、配下の名前が出てこないので、相当有力な存在だったと思われる。
この人物は、粛慎との戦闘中に戦死する。

七尾市にある能登島に、 須曽蝦夷穴古墳 というこの時期に作られたと思われる古墳がある。

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阿倍比羅夫の北方遠征は、200艘規模の船団で行っており、ある程度はここから出航したと思われる。
そうなるとこの古墳は、能登臣馬身龍の墓の可能性がそれなりにある。

この古墳。 前方後円墳全盛期だった頃にも関わらず、石で作られた方墳となっている。中の部屋の天井がアーチ状になっており、これは、朝鮮半島の墳墓の形態だ。

名前も日本人っぽくないし、この人自身が、高句麗の人だったのじゃないかとも思える。

日本海中心で見ると

こんな感じで、日本海を中心として東アジアの古代史を見てみると、歴史の別の面が見えてきて面白い。

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