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マゲ着けて 江戸行くつもりが 世界一周3

出航

オホーツク

1795年、基地にいたロシア船が、毛皮をイッパイ積んで大陸に帰ることになった。

津太夫達もその船に乗せられた。
一歩前進過ぎる状態。

過酷な毎日を般若ヅラで生活していた津太夫達は、あまりの嬉しさに、一瞬にしてひょっとこヅラになった。

そのひょっとこ達を、ロシア人は日本のかたくなな鎖国政策に穴を開ける材料として使おうとしていた。

ロシアはすぐ近くのシベリアを持っている。
でもシベリアは不毛の地。
この辺で食料を調達するのは難しい。
なので今は、シベリアより西から食料を持っていく状態だった。

アリューシャン列島やアラスカに行く途中で、ちょっと南に寄って、日本でお買い物していければ、ロシア的にはものすごく楽だった。

でも、白人への警戒が半端ない日本は、交易OKの回答をしてくれなかった。

そのため、この津太夫達を日本に返してやって、
「わたしは、本当はいい人なんです。」
という田母神アピールをしたかったのだ。

船は西に向かって出航した。

アリューシャン列島のちょい北を進み、 セントポール島 を通過した。
外を見ると氷山とかも見える。

「あんりゃ、おったまげたんなやぁ。」
「こりゃ、おったまげたんなやぁ。」

津太夫達は興奮し、鼻水をシブキのように飛ばしながら、叫びあった。

これが、 日本人初北極圏到達 の瞬間だった。

船はそのまま進み、 オホーツク というシベリアの町に着いた。

樺太の北

オホーツクは、樺太の北端をさらに北に進んだ突き当たり辺りにある町。
今までいた場所と比べると、圧倒的に日本に近い。

この地には、アイヌ人経由で日本の物品も入っていた。
さらには、ここから樺太方面へ行く船もあった。

あと少し過ぎる!
超帰れる!
津太夫達は、南を見た。
あの先に、大好きなポン酒がある。
それを思うと、津太夫達は涙が止まらなかった。

日本の味に飢えていた。
舌の上に味噌を乗せて昇天したかった。
故郷の宮城中の枝豆を集め、熱いずんだ風呂に浸かりたかった。

そんな思いを馳せて日々を過ごした。
そしてある日、出発を伝えられた。

再出発

イルクーツク

連れられた先は船ではなかった。
犬ゾリの前だった。

この犬達、こんな大量の荷物を引っ張りながら、あの大海を泳ぎ切ることができるのか。
そして、このソリ、浮くのか。
津太夫達は異国の獣力と科学力に感心した。

津太夫達はソリに乗った。
ソリは内陸に向かって進み出した。

「ちょ、待てよ。」

ソリは止まらなかった。

「津太夫のオヤジさん。ここじゃ日本語は伝わらないっすよ。ここはボクに任せて下さい。」

メンバーで一番のインテリ、 善六 は言った。

「ちょ、ミヌータチク。」

ソリは イルクーツク に向かって進みつづけた。

(その4に続く)

毛皮と人間の歴史

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日本幽囚記 上 (岩波文庫 青 421-1)

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