マゲ着けて 江戸行くつもりが 世界一周2

人探し

北方民族

どげんかせんといかん。
彼らは小舟を作り、周辺の島々へ現地民探索に出た。

この漂流の中、死人も出ていた。
リーダーの 平兵衛 も病気で寝たきり状態。

まだ動ける船員を、一番年長の 津太夫 が率いていた。

延々と舟で探索していると、島から煙が立ち上っているのを見つけた。

「あれ焼き芋?」
「確実に焼き芋っしょ!」

津太夫達は騒ぎ出した。

漂流して8ヶ月、生魚ばっかり食べていた。
たまに積み荷だった米を食う程度。
海には甘くて温かいものは泳いでいない。
これだけ広い海なのに、一匹の芋も泳いでいないのだ。
芋が泳いでいたら、どれだけヘヴンだったか。

津太夫達の焼き芋欲が飛び出し、思考回路の色んなところをショートカットして、焼き芋やっていることになっていた。

「ホクホク!ホクホク!」

ゴールを見つけた津太夫達は、掛け声を合わせて舟を進めた。

島に近づいていくと、2、30人の人影 がいるのが見えた。

8ヶ月ぶりの人間。
これはタカる以外、有り得ない。

津太夫達はさらに近付いた。

ハイパー異文化交流

近付くにつれ、島の人達の姿がはっきりしていた。
彼らはこの辺りで生活をしている アリュート人
それは、津太夫達にとってドン引きする姿だった。

まず、髷を結っていない。
そして、女性がお歯黒をしていない。
下駄も草履も履いていない。
この寒いのにミノも纏っていない。

男は 髭もじゃ
色黒で、男女とも 顔タトゥー を入れていた。

毛皮のワンピース のような衣装に、 鳥の羽 をワンポイントに着けるファッションスタイルだった。

アリュート衣装

また、漁の時には、 アザラシの腸 をつなぎ合わせてメチャクチャ防水性を高めた服を着ていた。

アリュート衣装

おそらく、男のマストアイテム、フンドシも着けていないに違いない。
けしからん。
津太夫達は、それぞれが全員そう考えた。

そして、
「郷に入れば郷に従え」
の言葉が津太夫達の頭をよぎった。

郷に入るのをやめるか、郷に従うか、郷に入って郷に従わない道を探るか。

津太夫達は、最後の選択に賭け、近づいていった。

アリュート人達は手招きをした。
津太夫達のボロボロな様子から、漂流していることを理解したようだった。

砂浜に着くと、アリュート人は陸揚げを手伝ってくれた。

「ヤキイモ」
津太夫達は挨拶をした。

「ヤキイモ」
アリュート人達は挨拶を返した。

さらなる異文化交流

ロシア人

数日後、噂がこの辺りに住んでいるロシア人達の耳に届いた。
この頃は、ロシアの東方進出に刺激され、日本も北方に進出しはじめる辺り。
この辺りにいるロシア人なら、日本人はそれほど遠い存在では無かったはず。

でも、こんなところにまで来ることは無い。
もしや、オレたちの縄張りを荒らしに来たのでは。

ロシア人達は、情報収集のために津太夫達の下にやってきた。

こいつら、ワルそうな顔をしてやがる。
ロシア人達は津太夫達の話を聞くために、自分たちの基地へ連れて帰った。

基地へ着くと、そこには津太夫達が乗っていた若宮丸の何十倍のサイズの船が停泊していた。

こんな立派な船があるなら、ちょこっと北海道辺りに寄ってってもらえるかもしれない。

津太夫達は俄然テンションが上がった。

しかし、船が出港するのは4年後。
それまでこの地で、ロシア人とその下で使われるアリュート人と一緒に、漁をしながら生活することとなった。

(その3へ続く)

オホーツク街道―街道をゆく〈38〉 (朝日文芸文庫)

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オホーツクに消ゆ

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