イオマンテについて熱く語る

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イオマンテとは

イオマンテ。
なんとなく下の方からパワーが湧きでてくるような響き。
バイアグラ的な精力剤の名前としてありそう。あとドラクエの呪文とか。

その場で中腰になって、両腕を下から上に振り上げる感じで叫んでみよう。もう何も怖くなくなるはずだ。

このイオマンテ、アイヌ語の単語が繋がってできている。 イが「それ」、オマンが「行く」、テが「させる」
要は イかせる のだ。 天国 に。

何を?

を。

それは熊送り

photo by RayMorris1

イオマンテとは、「 熊送り 」というアイヌ人の儀式。その儀式に対するアイヌ人自身による呼び名だ。

「熊送り」とは、ヒグマを殺して神の下に送るという儀式だ。
手順としては、

  1. まず子熊を捕まえてくる。
  2. イオマンテの日が来るまで、檻に入れてとにかく育てる。
  3. イオマンテ前夜祭。火の神へお祈りする。
  4. 飲み食い踊り。
  5. 本祭1日目。首に縄をかけて檻からだし、弓矢を撃ちまくり、首を締めて殺す。
  6. 食べ物撒き儀式。(神様にこっちで楽しいことやってるよアピール)。
  7. 「送り場」という儀式の場に死体を中央に置き、熊解体。頭と毛皮だけ状態にする。
  8. 飲み食い踊り。
  9. 本祭2日目。頭部解体。装飾する。
  10. 飲み食い踊り。
  11. 旅立ちの儀式。
  12. 本祭3日目。後片付けと先祖供養。

という流れ。物凄く大掛かりで、手順が多い。 それだけアイヌ人にとって大事なものなのだろう。

なんで熊ばっかり?
本州、それも東北以外に住んでいると、熊なんてキリンとかそこら辺レベルでレアな存在だ。
せいぜいお店でクマモンを見かけるくらい。

でも北海道はそうじゃない。

ボクは北海道を旅行したときに知床五湖に行った。
そこでは熊対策のレクチャーを受講した人だけが入場できるという決まりになっていた。

そこで受けたレクチャー。
一番大事なのは、会わないこと。熊側も人間には会いたく無いので、オレはここに居るから来るなよアピールをしまくるということだった。
福岡とか怖いお兄さん達が多い街で、親分同士が鉢合わせしないようお互い気を付けるように、人間と熊が鉢合わせしないように気をつけ合うのだ。

そんな形で、熊がウヨウヨいる北海道。
狩猟民族は、動物は神様的な考え方が元々あり、身近にいて、デカくて強い熊は特別な存在だったようだ。

イオマンテの起源

熊送りは、北海道だけで行われていたわけではない。満州の辺りにいる ツングース系 の人達も行ってる。女真族とか靺鞨族とかの系統だ。 そして、アイヌは縄文人とオホーツク人が融合して生まれた可能性が高く、このオホーツク人は満州辺りから移ってきたツングース系の人達といわれている。

おそらく、この オホーツク人の文化を受け継いで、それを発展させてきた のではないかと想像できる。

このオホーツク人の遺跡といわれる「モヨロ貝塚」では、熊の頭の石像も出土している。
下の写真は、ボクが「モヨロ貝塚」に行ったときに、血迷って買ってしまった熊の頭の置物だ。
とにかく処分に困っている。

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『遼東志』等のサハリンアイヌについての記載がある中国の資料によると、アイヌ人は熊皮を衣類にしたりなど、熊を色々な形で使用しているとされている。

そんな熊達を
「お前たちはオレたちの役に立った。お礼にお土産を持たせて神の世界に送ってあげよう!イオマンテ!」
というのが、イオマンテの儀式だ。

イオマンテの発展

このイオマンテ。元々は小熊を捕まえてすぐに儀式を行う形だったらしい。

それが、 江戸時代の頃 になり、小熊を捕まえて檻の中で成長させて、大きくなってから儀式を行うという形に変わっていった。

水戸黄門こと水戸光圀も、記録を残している。
石狩に訪問した際に、そこのアイヌ人達が鷲などと一緒に熊も檻に入れて飼育していたというものだ。

この頃からアイヌ人と 和人との交易物 に、熊の手足や胆というものが出てくるようになった。

熊は儲かるので大きくなるまで飼育して、商売と儀式を兼ねるような形で発展していったようだ。

熊送り文化圏

すでに記載したように、イオマンテは、満州辺りから樺太を通って北海道に伝わったらしい。

この熊送り文化、 北方狩猟民族の間で広く行われていた
熊だけではなく、鷹やフクロウなども対象としている民族もある。
アイヌのイオマンテでも、一部の地域ではシャチを対象としている。
北米の狩猟民族では、イヌワシを対象としている。
それだけ広範囲に広がる文化で、イオマンテはその発展形なのだ。

北海道でイオマンテをやっているその時、そんなに遠くない江戸では、チョンマゲしたお侍さんが、ロウソクの灯が揺れる部屋に一人篭もり、浮世絵をガン見している。(べつに江戸時代だけじゃないけど)
そう思うと、もうテレビの時代劇も、一方北海道では・・・・を意識せずには観られない。
(酷すぎるまとめ・・・)

イオマンテの考古学 (UP考古学選書)

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新・古代史謎解き紀行 消えた蝦夷たちの謎 東北編

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