読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

高千穂峰登山

高千穂峰

空前の日本神話ブームがやってくる。 流行りに対する嗅覚がでらごっついボクは、自らの鼻が放つフローラルの香りが漂う中から、そのブームを嗅ぎ当てていた。

流行を先取りするために、日本神話的な本を買い漁った。だが買っただけでは日本神話に詳しくなれなかった。実際に日本神話の舞台へ行き、自らの鼻が放つフローラルの香りを掻き分けながら、端から端まで嗅ぎ尽くさないと。 ボクは夏期休暇を使い、鼻だけを頼りに飛行機で鹿児島空港へ向かった。

無事に鹿児島空港に着き、そこにあったレンタカー1台を自慢の財力でまるまる借り切り、ブイブイいわせながら出発した。

まずは高千穂峰。今回の旅行の中でも天孫降臨の舞台、高千穂峰はメイン中のメインだ。 誰も予想だにしない、ものすごい早いタイミングで頂上にたどり着き、予想だにしていなかった人たちをギャフンと言わせてやる。 ぼくは暗いうちから出発し、1300ccをフルにブイブイブイブイ言わせながら坂道を登った。

この調子で一気に山頂を突破する!そう勢いづいていたぼくの前に、難問があらわれた。そう。目の前正面に駐車場が現れたのだ。

ぼくは駐車場に入り、さらに上へ行く出口を探し、さ迷い続けた。同じ場所を何度も何度もまわった。 30台程度しか止まれない規模の駐車場にもかかわらず、出口を見つけ出すことができなかった。それはまるで迷宮のようだった。

仕方なくぼくは、ブイブイ言う車をなだめ、駐車して歩いて登ることにした。

高千穂峰

高千穂峰

車で頂上まで行き、下車することもなく下山するつもりでいたぼくは、登山の準備など何もしていなかった。

おしゃれスニーカーとハーフパンツ。 ミリタリーリュックだけが唯一登山っぽいアイテムだった。

でもなんだかんだいって、坂本龍馬とおりょうが新婚旅行で登った程度の山でしょ?坂本龍馬もどうせ袴と草履だったんでしょ?髷がずれないように右手で押さえて、さらに左手で鞘を押さえながら登ったんでしょ?おりょうだって十二単的な服で登ったんでしょ?余裕でしょ。

ぼくは、想定外のスポーティホリデーにテンションが上がり、思いっきり鼻唄でシャウトしながらご機嫌なご様子で山を登った。

木々の間をすり抜けながらしばらく登ると、木が無くなり、地面が砂地っぽい感じになった。

そして頂上らしきものが見えた。 いい運動になった。あと少しで頂上だ。 ボクは目の前に見える頂上を目指してラストスパートをかけた。

高千穂峰

しかし、砂状態の坂道を登るのはものすごく大変だった。足場が崩れて何度も何度もすっ転んだ。 袴のなかはフンドシで、さらには包茎だったはずの龍馬は、ここで皮とサオの間に砂が入って激痛が襲ったはずだ。 のちに西洋文明最大の発明と言われる白ブリーフと出会い、もっと早く出会っていれば、このとき激痛に悩まされることはなかったという回想をして、彼は開国派に転向したと思われる。

高千穂峰

ピッチリボクサーブリーフでガードを固めおり、しかも肉体的に砂が入り込む余地がないぼくは、遠慮なく転ぶことができた。

どれくらい転び続けただろう。胃の中は砂でイッパイだ。何とか2/3くらい登った。 すると、さらに先に今まで見えていなかった別の頂上が見えた。今まで歩いた3倍くらいの距離があった。

なにくそ! ぼくは3年ぶりのなにくそを駆使し、登るペースを早めた。 だが、なにくそは5分で効力を失った。お花畑の中で今まで生きてきたぼくは、人生はじめての挫折を味わった。 ぼくは、自らの体を自動運転モードに切り替えた。そして、意識をお花畑へ飛ばした。 4/5くらい登ると、さらに上に続いていることが分かった。さらには霧がすごくて頂上が見えなかった。 だが、お花畑にいるぼくのご本尊は、肉体に対し知らぬ存ぜぬを通し、自動運転を継続した。

高千穂峰

お花畑で眠りこけていると、頂上らしいものが見えてきた。 とうとうぼくは頂上へたどり着いた。

だがそこには天の逆鉾はなかった。

頂上近くから道らしきものができていた。その道は下り方向に続き、さらには別の山頂へ続いていた。

高千穂峰

なんという狡猾な嫌がらせ。ぼくの怒りは頂点へ達し、まわりの花をむしりまくった。 フローラルの香りが辺り一面を漂った。

その間も、ぼくの肉体は歩き続けた。

高千穂峰

頂上と頂上の間あたりに、神社的な建物があった。 もうちょいっぽい。

高千穂峰

高千穂峰

ぼくはラストスパートをかけるため、南米風お花畑に意識を飛ばした。

頂上近くはものすごい湿気で、カメムシ的な生き物が大量にいた。 こいつら、なにが楽しくてこんなとこにいるんだ?ぼくがいる南米風お花畑の方が全然楽しいのに。 そう思いながら自動運転を続けていると、ついに棒みたいのが立っている頂上が見えてきた。 お花畑側のぼくは、肉体にハッパをかけた。

高千穂峰

頂上には天の逆鉾があった。こんどこそ本当の頂上だ。

高千穂峰

高千穂峰

高千穂峰

なんというか、ややチープな感じだ。もうちょっと金かければいいのに。

高千穂峰

なめ回すように見回し、飽きたのでまわりの風景をみた。 上下に雲が広がり、天国にいるかのようだった。

高千穂峰

高千穂峰

これはすごい。しばらく見ていようとしたが、自動運転の肉体が勝手に下山をはじめた。

高千穂峰

高千穂峰

高千穂峰

高千穂峰

高千穂峰

高千穂峰

© 2009-2017 Osajiru All Rights Reserved.