ウホーリーに探される−7話.恐怖に舌鼓

僕らの琴九州が、自ら掴んだ塩で縮んでいた頃、魚屋のてっちゃんは、今朝仕入れたマグロに舌鼓を打っていた。  

そして、カップ酒を冷蔵庫から取り出し、パカッと開けた。

ハマチも食いたい。 しゃがれた心の声でそう思い、売り場の一番鮮度のいいハマチつまみながら、カップ酒をグビッグビッと飲み干した。  

しまった。
このペースだと売り場のハマチを全部食うのに、カップ酒が1ダースは必要だ。

てっちゃんは、ニンマリとして額を叩いた。

同じ頃、ゴンさんは、また奈良公園で鹿を乗り回していた。
あちこちにいる鹿せんべい売りのばあちゃんに追い回されながらも、数少ない鹿せんべい売りのお姉さんは追い回した。

ギブアンドテイク。 ゴンさんと鹿せんべい売りは、そういう関係だった。

オレ、魚屋のてっちゃん、ゴンさんは、まだ一度も出会っていない。

オレは、この2人に向けて叫んだ。

「もういい加減助けて!2話も前にクルマに引かれてるんだよ!」

オレが叫んだその瞬間、魚屋のてっちゃんが真剣な目になり、ものすごい勢いで走り出した。

すると、あっという間に冷蔵庫にたどりつき、カップ酒取り出した。 そして、鮮やかな手つきでパカッと空けるや否や、グビッグビッと飲み干した。

一方、ゴンさんは、鹿が奈良公園から出るのを、必死で食い止めていた。

オレたちははまだ出会っていない。
そして、今後も出会うことはない。

オレ達は、鹿やハマチなど、動物好きという一点だけで繋がっていた。

ヤツはそんな他人行儀なオレ達の関係に気付いていた。

そして、脳を揺らす重低音鼻歌を歌いながら、オレたちのクールな関係をこっそり外側から崩すために、鹿とハマチを出会わせることから始めようと企んでいた。

つづく

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